原子核におけるアルファ凝縮とは?
原子核は核子(陽子と中性子)から成る多体系ですが、ベリリウム8原子核、8Be
の基底状態や炭素12原子核、12Cの第二 0+状態(通称ホイル状態)では、
原子核を構成する要素として、核子よりも陽子2個、中性子2個が集まったクラスター
(以下α(アルファ)クラスター)を考えることで、その状態を容易に扱うことができます。
このような状態の中でも、
12C の第二0+状態は、構成するαクラスターが弱結合しつつ、
その軌道角運動量が最低軌道であるS軌道に存在する状態であると
考えられています。このような状態は、ボーズ・アインシュタイン凝縮状態と
類似しているため、原子核におけるα(アルファ)凝縮状態と呼んでいます。
通常、フェルミ粒子である核子から構成される原子核は、フェルミ統計に従います。
しかしながら、α凝縮状態ではα粒子が持つボーズ粒子の性質が現れているため、
一つの軌道にいくつものαクラスターが存在することができるはずです。
つまり、フェルミ系であるはずの原子核に、まるでボーズ粒子であるかのような
ふるまいが見られる、非常に興味深い状態なのです。
もしこのような描像が正しければ、例えば、4つのαクラスターを形成できる 16O原子核においても、このようなα凝縮状態が存在すると 考えられています。
進行中の実験
解析中の実験
- 12C(α,α')反応からの崩壊α粒子測定によるα凝縮状態の励起状態の研究